प्रज्ञापारमिता
~仏教のおはなし~

心の距離

'20.08.08

雲樹隔つと雖も 心通何ぞ遠からん
三時持念して事ごとに福を廻らす

白雲や樹林に隔てられているが、心は離れていない。昼夜に福徳を念じて回向している。

「高野雑筆四七」

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お盆休みが近づいて来ていますが、新型コロナウイルス問題で今年は帰省をせずに、親兄弟が顔を合わせることも叶わず、またお墓参りもできない、という方が全国にたくさんおられます。秋のお彼岸も厳しい状況でしょうし、お正月もちょっとあやしい雰囲気になっています。
私事ですが、住職の実家は大阪、副住職は北九州です。お互い今年は一度も帰省をしていませんし、秋にも帰省はできそうにありません。来年の春にはどうだろうか…とは思っていますが、どうなっていることか…です。皆さん、大なり小なり似たような状況かと思います。

こういう時には体の距離、物理的な距離がぐんと離れてしまいます。お互いに顔も合わせないわけですから、それはどうしても仕方ありません。しかしそこは仕方ないのですが、人は往々にして「物理的な距離が遠くなって会わなくなる」と、どうしても「心の距離まで何となく離れてしまう」ことになりがちです。このふたつは微妙に繋がって表裏一体です。ですからこのような時には、努めて心の距離をしっかりと繋げていく努力を、いつも以上に意識しておくべきだと思います。

そのために、ふたつのことが私たちにはできます。

ひとつは、電話やメール、あるいは手紙も良いでしょうが、月に数度は連絡を取り合うことです。いつもより細やかにお互いに関わっていこうという努力が大切です。このことは離れている人同士ではなく、コロナの影響で何となしに雰囲気が重く会話が減っている同居の家族同士にも言えると思います。そうやって、物理的な距離広がった分、心を込めた連絡を増やすことも良いのではないでしょうか。

ふたつめですが、こちらがより重要ですけれども、相手を思って「福徳、仏様の守りがありますように」と心から祈ることです。祈りの力(功徳力・加持力・法界力)、それには距離などは関係ありません。真摯に相手を思って祈ることほど重要なことはありません。祈りの力は必ず相手に通じます。弘法大師が教えてくださっている通りです。これは間違いありません。この心こそ、人間関係の礎なのです。

新型コロナウイルスによる罹患の心配、社会的な混乱や生活不安など、いつこれが収まるかはなかなか予想ができませんが、いつでも私たちは祈りを忘れず、仏様、お大師様の御守護があると堅く信じて、明るく軽やかな心で思いやりを忘れず、毎日を過ごして参りましょう。