प्रज्ञापारमिता
~仏教のおはなし~

自力と他力と菩提心

'21.01.22

自力と他力というのは、日本仏教ではよく使われる概念です。真言密教の場合は加持力といって、自他力不二をその旗印とするので、単純に自力か他力か、というのはそぐわないですが、一般的には自力にカテゴライズされてしまう場合が多いかなと思います。

ではこれ、インドではどういう扱いでしょうか。

高野山大学の生井元学長の著書『密教・自心の探求』に、面白い文章がありました。「瑜伽師地論」の説ですが、これによると、菩提心を発心するのに、四つの力があるということです。「自力・因力・他力・加行力」です。

自力というのは、著書から引用しますと「衆生自らの計らいの努力ではなく、菩提自身の自己発現である。(中略)自力とは、本源的に自己に内在する仏の本願力に触発されて顕れる、自身の発心」の力である、ということです。一般に言われる「自力」とはだいぶ、ニュアンスが違います。
次の因力というのは、ここからは著書の要約ですが、過去世以来の功徳が現世での発心の力となること、です。
この両者は、菩提自身の発心であり、不退転のものです。

次の他力は、他者からの勧誘によって、その人の努力から生まれる発心の力であり、加行力というのはこの世での修行していく計らいの努力によって生ずる発心の力で、このふたつは「計らいの努力」によるので退転の可能性がある発心です。

浄土思想に菩提心のないことを厳しく批判したのが明恵ですが、インド仏教まで視野に入れたとき、なかなか面白くも難しい問題がありますね。