प्रज्ञापारमिता
~仏教のおはなし~

水のちから

'18.09.09

感星銀漢は下灑の功深し
湖水天池は上潤の徳普し
故に能く屮卉これに因って鬱茂なり
蟲卵これに頼って長生す

雨を降らす星々、万物を潤す湖や海によって、草木が茂り、生き物たちが生き生きとする。

「性霊集二益田池碑」

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令和3年、夏。
いや、立秋が過ぎたから秋、でしょうか。
日本中で季節外れの雨が降り続いています。

雨は言うまでもなく水ですが、人間の身体の70%は水で出来ています。少々は食べなくても人は死にませんが、水は数日飲まなければいのちの危険に晒されます。水はいのちの源です。
この水、地球を太古の昔から循環していまして、雨が降り、川となりまた地下水となってまた海に流れ込み、蒸発して雲を作り、また雨となって降り注ぐ。自然の摂理です。
人間や動植物は、その偉大な大自然の水の循環の途中に立って、幾ばくか必要な水を頂きながらいのちを保っています。おおきな水の大循環、つまり「いのちの源の偉大な巡り」の中に入れさせて頂くことで、私たちはなんとか生きているわけです。
感謝しないではいられませんが、果たして感謝は足りてるでしょうか? 水を単なる道具か何かのように考えていないでしょうか。地球の水の循環を崩してまで手に入れる「豊かな生活」は、最後には私たちのいのちを脅かすことになるでしょう。

さて、水はいのちの源ではありますが、集中豪雨による洪水や、あるいは津波などによって、水は人のいのちを奪うこともあります。
ものごとには常に二面があり、「与えるもの」は「奪うもの」と表裏一体です。片方だけで完結することはありません。ましていのちを与えるほどの強い力を持つならば、その力は逆にも大きく働きます。ものごとは万事それです。

人間も、「悪に強い者は善にも強い」と言われます。
人間には誰にも強い力があります。なにしろ70%が、偉大な水で構成されていますから。もとがいのちの塊なのです。
だから私たちにも、他者を生かす力があるし、殺す力もあります。いずれにしても力があるので、あとはそれを「どう使うか」。自然の摂理はコントロールし切れませんが、自分自身を作り上げている力をコントロールすることは可能です。それを、善く、他者のためにコントロールして活かさなくてはなりません。
その活かし方を教えるのが、仏教です。仏の教えです。
まず自己の内に秘めた力を整えるのが、十善戒。それを他者のために働かせるやり方が、四無量心です。
このふたつの指針を常に胸に置いて、自分が持っている力を発揮し、破壊ではなく互いに生きるために使って、幸せな生活、明るい生活にして参りましょう。

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十善戒

不殺生…すべての生き物を無益に殺さない。恨まない、憎まない。排斥しない。
不偸盗…盗まない。他人の物を欲しがらない。
不邪淫…不倫をしない。異性に対して邪な思いを抱かない。
不妄語…嘘をつかない。
不綺語…きれいごとを言わない。
不悪口…悪口を言わない。
不両舌…二枚舌を使わない。
不慳貪…物惜しみをしない。ケチにならない。
不瞋恚…怒らない。イライラしない。
不邪見…仏教の教えを正しく学び、般若空の正しいものの見方をする。

四無量心

慈…楽を他者に与えたいという心。
悲…他者の悲しみや苦しみを抜いてあげたいという心。
喜…他者の喜びを自分の喜びとまったく変わらずに喜ぶ心。
捨…「私が・あなたに・何々を」の区別心を捨てた平等心。