प्रज्ञापारमिता
~仏教のおはなし~

仏足石

'21.01.03

イメージ画像

仏足石というものがあります。
これはお釈迦様の足跡を宗教的に装飾したものでお寺の境内にあったり、拓本として祀られていたりするものです。2000年以上前から世界各地で石に刻まれてきましたが、スリランカで1000以上、日本にも300以上はあると言われています。
これはお釈迦様が「今、現にここに来てくださった」という印であり、本来は伏して拝むべき聖なる信仰対象であります。
今ここに掲げているものは、奈良・薬師寺の西塔仏石堂にある日本最古の仏足石(天平勝宝5年、西暦753年作)を、江戸時代文化5年に播磨の瑞龍寺の住職が模刻した仏足石の拓本になります。
もともと薬師寺のものは、中国唐代に、太宗の命で王玄策という役人がインドに派遣された時、お釈迦様が最初に説法をされたサールナート(パトナという説もあり)という場所にあった仏足石を拓本にして帰国後に長安の普光寺で石に刻ませたものを、長安に留学していた日本人の黄文本実がそこから拓本を取って日本に持ち帰ったもの、とされています。それを薬師寺で石に刻んだわけですから、この形は三国伝来の正統の仏足石であります。
因みに長安・普光寺にあった仏足石は最近まで現存していましたが、中国共産党による文化大革命で破壊されてしまったようです。

では、具体的に足に描かれた模様の意味を見ていきましょう。ここに描かれた模様が意味する功徳をこの仏足石は持っており、これを一心に信じ拝むことで、お釈迦様の功徳が私たちにも譲り与えられ、安心を得ることができるのです。

まず、指のところにあるのは、卍です。親指は華という説もあるようですが、いずれにしても「吉祥、光、慈悲」を表しています。めでたく、光が降り注ぐような慈悲をお釈迦様はお持ちである、ということです。

次に、卍の下に関節のような線がありますが、これは網縵といい、水鳥の水掻きを表していて、漏れなく生きとし生ける者を救うという釈尊の救済の力を表します。

第三に、真ん中に縦の線があります。通身と言い、全身を貫く六神通を示します。お釈迦様は時に、不思議な力を現して私たちを救ってくださいます。

第四。親指の下にあるのが、宝剣です。あるいは金剛杵ともされますが、いずれにしても煩悩を破る降魔の武器であり、お釈迦様の教えは煩悩を滅ぼして安らぎの境地に導くことを示します。

第五。双魚です。転輪聖王という理想的な王様の印とされ、古代インドの占星術に双魚宮は「学徳と富貴」、あるいは魚は目を閉じないところから「精進」を示すとされます。法王たるお釈迦様も、この徳をお持ちです。

第六。花瓶。これも占星術で宝瓶宮が「忠信と富」を示し、また仏性を納める如来の全身、あるいは仏舎利を表します。つまり、この仏足石だけで如来の全身を示すわけです。

第七。法螺貝。これを鳴らせば、つまりお釈迦様が説法をすれば、すべての災いと罪が消滅していくことを表しています。

第八。剣の下に三日月の印がありますが、これは昼夜を問わずにいつであれお釈迦様は説法をされ、人々を導き護ってくださることを示しています。

第九。下にWのようなものが描かれていますが、これは象牙と言われています。動物の王様である象のように、仏法僧の三宝が偉大であることを表します。花束という説もあり、この場合は三宝の香りが世界に満ちることを示しているのでしょう。お釈迦様が、この三宝をしっかりと私たちに教えてくださいます。

第十。一番下にあるのが、梵王頂といい、神様の王である梵天の冠です。梵天がすぐ上の三宝を支えることで、神々も仏法を守護していることを表しています。円形の部分は仏教を象徴する蓮で、清らかな悟りの境地を示します。

最後は千幅輪、中央の大きな車輪ですが、これは仏法が世界中に広まる印であり、正しい法が悪を砕き永遠に流れ続けることを表します。

以上の11項目が、仏足石に描かれたお釈迦様の徳です。
しかし確かにこれはお釈迦様の徳なのですが、私たちはこれを単に拝んで済ませるわけにはいきません。お釈迦様は、私たちひとりひとりが、ここに示された徳、性質を身につけて実践しなさいと仰っておられます。ですからこの足跡は、お釈迦様の足跡であると同時に、私たちの足跡でもあるのです。11の徳を身につけようと努力をしながら、人生を歩みなさいという、お釈迦様の教えです。
そう決心して努力しようとしたときに、この仏足石は単なる拓本や石ではなくなり、現にお釈迦様がここに来られた証となり、私たちひとりひとりの生きた証ともなっていくものです。