蜃気楼
'17.12.17遠うして有に似たれども 近うしては物なし
陽炎は、遠くから見れば実在しているように見えるけれども、近づいてみれば何もない。
「性霊集十 十喩を詠ず」
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隣の芝生は青いというが、離れてみるとどこか宜しいように見えてしまい、自分の持っているものがつまらなく見えてしまいがちだ。しかし遂に隣のものを手に入れてしまえば、やはりあらが見えてきて、どうも思っていたのと違う…なんてことは良くある。
青い鳥の寓話もあるけれど、完璧に理想的なものなどはほとんどない。仮にあったとしても、それを受け止めて認識していくのはあなたであり、あなたが不完全であれば、あるいは妄想や弱さにまみれているならば、どんなものであれ完璧なものとしてそれは把握され得ない。逆にあなたが完璧であれば、いかなるものに対してもそれを活かす智慧を発揮できるだろう。