प्रज्ञापारमिता
~仏教のおはなし~

福楽

'16.03.23

このお寺の名前は「医王山福楽寺」と言います。

真言宗御室派(総本山仁和寺)末の寺院で、創建は奈良時代の全盛期だった天平十八年(七四六年)、聖武天皇の御世に遡ります。開基・行基菩薩と伝えられる古刹です。
およそ物事の名前というものは、必ず意味があります。そのものの持っている性質を表したり、「このようであって欲しい」という願いで、人はモノや人に名前をつけます。
では、「医王山福楽寺」というのは、どういう意味でしょうか。

さて、福楽寺のご本尊は薬師如来ですが、その仏様の「願い」を、この名前は示しています。また同時に、お寺は「檀信徒のもの」ですから、この寺の檀信徒が「こういう人であって欲しい」という願いを、お寺の名前は表しているのです。

まず医王山という名前ですが、「山」は「山号」と言い、古来より寺を山で表す習慣があるので、これをつけます。「医王」というのは「医者の王様」、つまり薬師如来の別名です。その薬師如来が本尊として鎮座している寺ですから、「医王山」といいます。

福楽というのは仏教の言葉で、「善なる行為、また善なる行為によって積まれた功徳」という意味になります。功徳を積む、というのを「福楽を積む」という表現で言ったりもします。意味は同じです。
薬師如来は私たちの為に、過去に積まれた善行・修行の功徳・福楽をすべて与えてくださる。だから私たちは信仰の手でそれを受け取りなさい、という意味があります。またもうひとつ、私たちが福楽を積み、周囲の人たちに惜しみなく、無条件に分かち合いなさい、そういう生き方をしなさいよ、という意味もあります。

薬師如来のまなざしのもとで、仏様の功徳をいただいて守り導いていただき、同時に私たちもこの世界で「小さな如来様」になってお互いに助け合い守り合う、そういう生活を、このお寺に縁のある人にはして欲しいという願いで、このお寺は、「医王山福楽寺」という名前なのです。

今、世界ではテロや戦争、自然破壊、また格差や差別、いじめ…色々な問題がたくさんありますが、「福楽」というのは、無差別の善なる行為、お互いに支え合って積む功徳のことです。この名前のお寺に縁のある皆さんは、どうぞ身の回りから、「小さな如来様」の心をしっかりと持っていただき、なるべく明るく楽しく、周りの人たちに光を与えていけるように、穏やかに生活をしてまいりましょう。